知らないと一生後悔するITゼネコンの構造
SEとしてプロジェクト現場に配属されてから、一番驚いたのがITゼネコンと呼ばれる下請け構造を目の当たりにしたことでした。
「ITゼネコン」という言葉の意味は検索すれば、たくさん出てきますが、ここはわかりやすくまとまっていたWikipediaさんにお願いしたいと思います。
〜〜〜引用ここから〜〜〜
建設業界のゼネコンと同じように、情報処理産業において官公需を独占する大手のシステムインテグレーター(SIer)の事。またはそれらが形成する多重の下請け構造の事である。
(中略)
NTT系列や国内大手ITベンダー(日立、NEC、富士通)の三社、外資系ベンダー(IBM、HP、Sunなど)系列のSIerが大手の顧客を囲い込み、インフラ構築からコンピュータ機器の設置、納入後の運用メンテナンスに至るまでを一括受注して利益を得ており、実際のプログラミングやテスト作業を中小のSIerに丸投げしている状態となっている。
〜〜〜引用ここまで〜〜〜
要は大手ITベンダー(元請け)が仕事を取ってくるけど、自社の社員だけでそんな大きなシステムを作るのは硬直化している日本の労働市場(簡単にクビを切れない)では人件費的に不可能だから、下請け企業を集めてそちらに仕事をさせるという構造のことですね。
下請け企業のSE
私が入社したSIerは残念ながら大手ITベンダーではなく、上記のどこかの下請け企業(協力会社)でした。
一応、東証一部上場だったのですが、そんなことは関係ありません。下請け企業は、それなりの仕事しかできないのです。
さらに、うちの会社が提携している協力会社も存在しています。※トップから見ると孫請け
例えば、実際の現場に100人の人間がいるとしたら、元請けの人間は5人から10人ほど。
あとは全て下請け・孫請け企業の人間で構成されます。
大手ITベンダーの社員が全体のリーダー的役割を担い、下請けは各社ごとにサブシステムを任されます。
そのサブシステム内で、下請け企業はリーダーシップを自由に発揮できますが、孫請けともなるとプログラミングやテストばかりが主な仕事となってしまいます。
客先との打ち合わせができるのもサブシステムを担当している下請けまで。
孫請けはマネージメントスキルを磨く機会が少ないので転職市場でも不利にならざるを得ません。
コーディングやテスト要員のことは、ネットではITゼネコンにちなんで「IT土方」なんて言われていますよね。
そして、ピラミッドの一番上以外は、客先では自分の会社名すら名乗れません。
下請け・孫請けの社員は、名前だけは元請け企業の社員という扱いなのです。
私自身もそうでしたが、こうしたピラミッド構造を知らずに、どこぞのSIerに入社してしまうと非常にギャップに悩むことになります。
また「有識者のITゼネコンに対する評価」も見ておくと、もっと大きな視点で仕組みを理解できると思います。
丸投げのところもあるらしい
私がいた現場は、一応ITゼネコンベンダーの社員が数人常駐していましたので、完全な丸投げではありませんでした。
ですが、現場によっては丸投げのところも珍しくはないみたいです。
丸投げとは、マージンだけ抜いて、実際の開発は下請けにやらせるということですね。
そして、表上は「ITベンダーがやった仕事」として納品するわけです。
これもITゼネコンの悪い問題の一つとして認知されています。
SIerでSEになるなら
SIerに入社して無難にSEとして勤め上げていくなら、なるべくピラミッドの一番上に属する会社に入る方が効率的であることには間違いないと思います。
大手ですので給料や福利厚生も恵まれています。
仕事の楽しさ抜きに会社員としてやっていくだけなら、小さな不満はあれど、特に大きな不満はないのではないでしょうか。
現場のトップはシステム、金融のド素人
私が働いていた現場のトップは大手ITベンダーの方で、その会社内での役職は確か課長くらいの方だったと思います。
驚きだったのは、その方は、
- システム開発
- 業務知識である金融(お客さんが金融系の会社だった)
どちらの分野の経験もない素人でした。
つまり、大手ITベンダー内での社内異動で、うちの現場の開発リーダーにアサインされたというだけなのです。
大企業ですと、営業やったり人事やったりというのは当たり前だと思いますが、要はその方に色々と経験させる為に私が働いていた現場にもやってきたということですね。
リーダーが素人なので、もちろん他の方は迷惑を被ることになります。
もちろん、同じ会社でなぜか出世できてない年上の技術屋の方がサポートに付いているので、現場が即大混乱に陥ることはありません。
ですが、ITはベンダーの社内事情だけで、他社の100人以上の人間が「下請けという理由だけ」で巻き込まれてしまうので、非常に怖い世界ですよね。
上のピラミッド構造のヒエラルキーの下に付くということは、自分の職業人生も簡単にコントロールされてしまうのです。
素人がリーダーになることの不自然さ
他のジャンルに例えてみると、ありえないですよね。
例えば、サッカーチームで誰がリーダーになるかとえば、
- 一番上手い人
- 一番上手くはないけど、そこそこ上手くて人望がある人
という感じですよね。
にも関わらず、学校の先生だったり、コーチが買収されて、お金持ちのボンボンが勝手にリーダーに任命されてしまったらどうでしょうか?
非常に白けます。
そういったことが、普通に起こっているのがITゼネコンの構造でもあると言えます。
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