有識者のITゼネコンに対する評価
私の場合、元SEとして働いていた時に感じたSIerに対する労働環境の不満しか言えませんし、既に辞めた人間であるのでそれ以上の発言をしても説得力に欠けるところがあります。
有識者の方たちは、もっと大きな視点でITゼネコンの問題点を語っていますので、参考に紹介しておきたいと思います。
有識者の意見
(1)まずは孫正義さんとITジャーナリストの佐々木俊尚さんからいきましょう!
「光の道対談」の中でお二人はこう言っています。
〜〜〜引用ここから〜〜
佐々木:(省略)現状、そういうことやろうとすると、いままでどういうことになってきたか説明するとですね、必ずアプリケーションを作るベンダー、いわゆるITゼネコンというベンダーを作るケースが圧倒的に多いんですね。なぜかというと発注するのが国である、あるいは、県である、あるいは市町村である。自治体が発注する。そうすると、自治体の場合には知識がないから、とりあえず、大手のITゼネコンに発注してしまう。結果的に日本の大手ITゼネコンてのは、ろくなサービス作るのはほとんど不可能ですから。
孫:NTTデータとか、日立とかそういうところでしょ。僕も大反対よ。あんなところに。ITゼネコン。これテレビじゃないからいっておくけど。ははは。
佐々木:そうすると、そこで問題なのは、これは僕と孫さんとは意見が一致すると思うんですけどね。
孫:「たいがいにせい!」って言いたいよね。
〜〜〜引用ここまで〜〜〜
(参照)書き起こし.com
この時は「孫さんもそう思っていたんだ!」とTwitterなどでは話題になっていました。
(2)次は経済学者の池田信夫さんのご意見です!
税金と人材を浪費する「ITゼネコン」
〜〜〜引用ここから〜〜〜
ITゼネコンの弊害は、建設ゼネコンよりずっと大きい。建設業の生産性が落ちても日本経済に大した影響はないが、情報産業の国際競争力を高めることは政府も最優先の課題としている。世界的に見ると、多くの汎用CPUで分散型の計算を行なうクラウド・コンピューティングの研究が、グーグルなどで始まっている。今どき時代錯誤の「大艦巨砲コンピュータ」に多くの優秀なエンジニアを投入することは、IT産業をミスリードし、税金よりもはるかに重大な人材の浪費になるだろう。
〜引用ここまで〜
(参照)池田信夫の「サイバーリバタリアン」 ― 第17回
池田さんは他にも、この問題に関して記事を書かれていますのでネットで探してみてください。
(3)業界のご意見版的な存在であるUIEvolution Incの創業者である中島聡さんです
〜〜〜引用ここから〜〜〜
「国内のIT産業を育てる」という名目で政府や特殊・公益法人からメーカー(中略)やITベンダーにお金が流れる仕組みができてしまったために、そこに土木建築業界とまったく同じような「ITゼネコン」が作られ、そこが下請け・孫請けに仕事を丸投げし、そこで雇用が促進される、という産業構造が確立してしまったのだ。
〜〜〜引用ここまで〜〜〜
(参照)「公共投資」が生み出した日本のITゼネコンビジネス
コメント欄が結構厳しいですね。SIerに対する風当たりの強さを感じます。
(4)SEは死滅する
木村 岳史さんという「日経コンピュータ」という雑誌の編集長を務められ、ITproの編集委員として極言暴論というコラムを書かれている方が、
- SEは死滅する もっと極言暴論編
- SEは死滅する 技術者に未来はあるか編
という本を出版しています。
木村さんは日頃からSI業界とSIerについて一刀両断している方なので、関係者からは批判されたり叩かれたりすることもあるようですが、SEを辞めるか迷われている方は、ご自身で読んでみて判断されることをお勧めします。
1冊目の「もっと極言暴論編」では、どちらかというとSIガラパゴス化した業界全体に対する愛のある警鐘という感じでまとめられています。
例えば、
- IT業界は多重下請け構造の中での外注化が当たり前になったことで、人材のスキルも能力も伸びず成長できない(中途半端な管理スキルくらいしか身につかない)
- 下請けのSEは、納期が近づく度にデスマーチになり疲弊していく
- 労働集約型の人月商売なので、給料が高くなれば、人件費の安い海外に仕事が移ってしまうリスクがある
- 各SEはアメリカのように転職を活用してスキルアップするしか生き残れない
というようなことが書かれています。
個人的なSEの生き残り戦略を考える上では、2冊目の「SEは死滅する 技術者に未来はあるか編」の方がお勧めです。
特に、第1章の「技術者を使い捨てる日本のIT業界の末路」に書かれている「SIerの余命は5年、オオカミは本当にやって来る」などは、現役のSEの方にとっては将来を考える上での示唆が得られるのではないかと感じます。
(5)Google
ITゼネコン や ITゼネコンの末路
などで検索してみると、他にもたくさんの意見が見つかると思います。
これから就職される方にとっては、特に業界の動向や将来性の研究が大事だと思いますので、各自で自分の意見を持っておくと良いと思います。
ITゼネコンの方たちも当然ながら危機感を持っていますので、入社してから一気に変化が起こる可能性もあるということだと思います。
SEのキャリアを活かして転職
SI業界に見切りをつけたSEが続々と転職している業界はこちら!
異業種転職なら社内SEでチャンスをつかもう!
社内SEから異業種を目指す堅実な戦略とは?
すぐに辞めたい、もう辞めてしまった方は派遣から!
IT・WEB系の派遣は高時給で、すぐに働けるのがメリット