人口密度の高い作業場で仕事するSE
私が初めてプロジェクト現場に着いた時の感想は、確か「狭!」だったと思います。
正確な人数は覚えていませんが、確か150人から200人の人が一部屋に集まって机を並べて仕事していたのですが、とにかく狭くて窮屈だったのです。
自分のデスクでイスを少し後ろに引こうものなら、すぐに後ろの人のイスの背もたれにイス同士がぶつかってしまうような、そんな人口密度の高い部屋でした。
ですから、年中、湿度が高いような状態で、夏はとにかく冷房が効かずに暑かった記憶がありますね。
それがどれくらい酷い環境だったのかを表現する言葉として、私の大学時代の同期の心ない言葉をあえて紹介したいと思います。
その大学同期に、SEが激務なこと、狭い部屋に200人くらいが集まって、暑さや湿度に耐えて仕事しているということを説明すると、
「まるで豚小屋だな」
と言われてしまったのです。
自分でも酷い環境だとは思っていましたが、ブタ小屋と改めて言われてしまうと非常にショックでした。
どうしてそんなに人数が多いの?
システム開発のプロジェクトというのは、元請けから下請け、孫請けまで合わせて異なる会社が何十社も集まって仕事をするのが一般的です。
ちなみに元請けが仕事を依頼しているのは「協力会社という名の下請け会社」です。
そして、下請け会社もプロパーだけでは人数が足りないので、またしても「協力会社という名の孫請け会社」に依頼して人数をかき集めます。
このようなメンバー構成でシステム開発を行うので、1年間同じ部屋で仕事をしていようが、他社に対して親近感も連帯感も生まれません。
みんな、自分に直接仕事を発注している人間に対してしか、敬意を払いたくないからです。
そんなドライな開発現場に大人数が詰め込まれるのも、仕事の満足度が上がらない原因の一つになっているように思います。
どこに集まるの?
職場となる場所というのは、どこかのビルのワンフロアを借り切って行うことが多いです。
ですから、元請け会社の中というわけでもありません。
場所はワンフロアが広めで安く借りられるような場所になることが多いのですが、私が通っていた現場は都内の山手線の某駅から徒歩15分ほどかかる僻地でした。
また、その周辺は同じようにシステム開発の現場が多く集まっていたので、お昼休みとなると周囲の、
- コンビニ
- 飲食店
- お弁当屋
はSEでごった返していました。
仕出し弁当もあったのですが、「値段は安いけど不味かった」ので、雨の日くらいしか注文はしていませんでした。
お昼休みは皆で同じ時間に取ることが決まっていたので、その点も含めて環境的には悪かったと思います。
また、徒歩で15分ほどかかると書きましたが、夏場となると朝通勤するだけで汗だくになっていました。
駅近でないと、通勤時間も伸びるので良いことはありません。
ワンフロアの中身
そのワンフロアを分割して島を作り、各会社ごとに割ふっていくのです。
各会社はサブシステムを一括して担当するので、各島は会社名というより、
- 売上チーム
- 支払いチーム
- 与信管理チーム
- 債権チーム
と言ったようにサブシステムの名前で呼ばれることになります。
開発現場が移転することもあります
システム開発にたくさんの人数が必要なのは、いわゆる「開発フェーズ」です。
大体の仕様が固まって、あとは単純なプログラミングを人海戦術で進めていく段階ですね。
その期間を過ぎて、一息つくと、その後は逆に人数がどんどん必要なくなっていきます。
ですから、孫請け会社との契約は終了し、下請け会社のプロパー社員も、次々と他の現場に移っていくことになります。
このタイミングでは、ある意味「その現場で使える人間だけが残っていく感覚」です。
- 上司に気に入られていない
- チームで嫌われていたり
- スキルがない
- とにかく仕事ができない人
はドンドンとプロジェクトから卒業していくことになります。
人数がいなくなると、これまでの場所ですと広すぎてしまうので、その段階で他のもう少し小じんまりとした開発現場に引越しすることになるのですね。
そのタイミングで人も減って、人口密度も減り、少しは快適な作業場になることが多いと思います。
プロジェクトに残れば幸せか?
「環境の悪い作業場」の話とは少しそれますが、上記で「プロジェクトに不要な人から抜けていく」と書きました。
そう書くと、生き残った人が勝ち組のような印象を受けると思います。
ですが、現実はそうとは言えませんでした。
いわゆる保守フェーズとなると、プロジェクト全体がマッタリした空気になり、新しく考えることが極端に減ります。
どちらかというと、前任者が作った意味不明な仕様やプログラムを修正するのが仕事になったりします。
ですが、そのタイミングで今はいない前任者に愚痴っても仕方ないので、残った人がどうにかしなければならないストレスに苛まれることになります。
ストレスは良いとしても、保守フェーズですとSEとしての成長も止まりがちなのが一番の問題です。
やはり人間はある程度、難易度の高い仕事に取り組んでこそ、職業人として成長できるということがあります。
20代の若いうちに保守の現場でマッタリ仕事してしまうと、30代になってまったく使えないSEにもなりがちですので注意が必要です。
運が良ければ快適なオフィスで仕事できる?
もちろん、全てのプロジェクト現場がそのように人口密度の高い作業場というわけではありません。
最初のプロジェクトがカットオーバーして、次の現場に移動したのですが、今後は最初の作業場とは打って変わって非常に近代的なオフィスに勤務することができました。
イスを引いても後ろの人とぶつかるというようなことはなく、少なくとも1メートルは離れていたと思います。
各自に与えられるデスクも前より大きいものでしたので、非常にゆったりとしながら仕事をすることができました。
まあ仕事内容はまったくユッタリとはしていなかったのですけどね。
とにかく、最初のブタ小屋のような環境では、二度と仕事をしたくはありません。
でも、私なんかまだマシな方で、窓も何もない地下室に閉じ込められて仕事しなければならない、もっと酷い作業場の話も聞いたことがあります。
その部屋は湿気も酷くて、心なしか病人も多発していたそうです。
どういう環境の現場に配属されるか?そこらへんは運に任せるしかないみたいですね。
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